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著作分類 IIRワーキングペーパー
著者 西口敏宏:姜紅祥:辻田素子
論文タイトル リーマン・ショック以降の温州企業――温州モデルの再考
機関名 一橋大学イノベーション研究センター
ナンバー WP#12-06
公開日 2012/03/21
要旨  民営企業による経済発展が高く評価されてきた浙江省温州で、2011年4月以降、中小企業経営者の失踪や自殺、工場閉鎖、企業倒産などをセンセーショナルに取り上げる報道が急増し、民営企業が地域経済の発展を促す「温州モデル」が危機に瀕しているといった論調も目立った。しかしながら、報道された個別事例やマクロ経済データをもとに分析した結果、今回の現象は、信用不安や資産価値の下落などによる金融システムの機能不全にとどまり、温州の実体経済全体が著しく衰退しているわけではないことが示唆された。中国の民営中小企業はそもそもインフォーマルな民間金融に依存せざるをえない実態にあり、この民間金融に関する法制度の不整備が、経営者や一般人による投機的なマネー・ゲームを引き起こし、その行き着いた先が、2011年の温州地域金融危機だったと推察される。
 とはいえ、今回の温州地域経済危機を引き起こしたマネー・ゲームは、温州の民営経済を牽引してきた労働集約型産業の競争力の低下や収益率の悪化などに起因する部分も否定できない。温州は、産業構造の高度化や主力産業の転換を急ぐ必要がある。
 また、これまで中国内外で高く評価されてきた「温州モデル」に内包されていた課題も浮き彫りになった。温州の民営中小企業の発展をこれまで促進してきた温州人ネットワークは、あまりにも緊密なネットワークゆえに、構成メンバーである企業や個人が1社もしくは1人、つまずいただけで、ネットワークの全構成メンバーに甚大な影響が及ぶ。今回の温州地域金融危機によって、地元経済における緊密なネットワークが抱える負の側面が改めてクローズアップされている。
備考
参考URL
ラベル ネットワーク
登録日 2012/03/31

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