要旨
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1982年、株式会社荏原製作所(荏原)の技術者は、流動層技術を応用した画期的な廃棄物焼却技術である「内部循環型流動層技術(TIF)」の開発に成功した。同技術は、廃棄物焼却の1つの方式である流動層技術の限界を独創的な発想によって克服したものであり、環境設備業界における荏原の地位を一躍引き上げるとともに、その後の業界の発展に多大な影響を与えた。社内においてさえほとんど支持を得られない中、技術者の強い信念は独自技術の開発を実現し、TIFの成功は、荏原がポンプメーカーから総合環境エンジニアリング企業へと大きく転身する重要なきっかけとなった。続く内部循環型流動層ボイラでも、開発陣の強い信念によって幾多のトラブルを克服し成功した荏原は、やがて環境事業を中核に据えて積極的な事業拡大を進めるようになった。この技術開発の輝かしい成果についての過程を探るとともに、その後の荏原が抱える問題点についても考察する。
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