要旨
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太陽光発電(PV)産業は、世界各国の普及政策に後押しされて急発展を遂げてきた。この発展において特筆すべきは、技術的な先端産業であるにもかかわらず、実質的に市場が立ち上がった2000年代後半の5~6年の間に、圧倒的に後発であった中国企業が、日欧企業からシェアを奪い、一気に市場を席巻したことである。中国企業はなぜここまで短期間に競争力を獲得できたのか。特に、成長に必要となる有能な技術者と経営者の不足をどのようにして克服したのか。本稿では、中国におけるPV産業の集積地である江蘇省無錫市における丹念な実態調査を通じて、企業間での情報や知識の移転と共有という観点からこれらの問いに対する1つの回答を提示するとともに、そこに付随する問題点も指摘する。
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