要旨
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東レは、2005年3月期に過去最高益を更新した。東レの高収益を牽引する事業の一つとして、情報通信材料・機器部門のLCD用カラーフィルター事業が挙げられる。同社は、携帯電話機用途を中心とした中・小型LCD向けカラーフィルターに関して、国内市場の約4割、世界市場の約2割を占める首位企業である。このような競争優位を実現する背景には、非感光ポリイミド法という東レの独自技術が存在する。この技術が確立されるまでの道のりは順風満帆とはいかず、非常に険しいものであった。本ケースは、非感光ポリイミド法に基づくカラーフィルターが事業化され、事業転換を経て、優位性を確立するまでの東レが辿った紆余曲折の経緯について記述するものである。
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