要旨
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純粋持株会社、企業分割制度、連結決算、連結納税制度の導入等、グループ経営を重視する制度改革が行われてきており、グループを単位とした企業分析が非常に重要になっている。本稿では、こうした研究を行うためのデータとして、企業活動基本調査から親子関係のデータによって
グループ会社のパネルデータ(1997年から2008年)を新たに構築した。本稿では、企業を、本社企業(HQ)、部分所有子会社(PO)、完全所有子会社(WO)および独立企業(SA)の4つの類
型に分けて、それぞれの重要性を国際的な視点から比較すると共に、その重要性の経年変化を分析した。本稿の主要な知見は以下の通りである。(1)日米欧を保有特許件数で比較すると、独立企業(SA)のシェアで、米国> 欧州> 日本(=約4%)であり、日本ではグループ企業のシェアが高い。(2)完全所有子会社(WO)のシェアでは欧州> 米国> 日本(=約6%)であり、部分所有子会社(PO)のシェアは、米国ではほぼ0であるが、欧州と日本(=約8%)はほぼ等しい。(3)純粋持株会社、連結納税制度の導入等があって、従業員や研究開発でみたWO のシェアが高まっている。PO がWO に移行するケースも多い。(4)企業グループは平均3.5製造セグメントを持っており、単独ベース(本社企業(HQ))の平均1.8セグメントの約倍である。独立企業(SA)は平均1.5セグメントを持っている。また、企業グループでは1997年から2008年まで平均0.5セグメントの専業化が進んだ。単独ベース(本社企業(HQ))でも少し専業化が進行したが程度はより小さい。SA は専業化があまり進んでいない。
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