要旨
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携帯電話やノートパソコン向けの繰り返し使用可能な充電池を二次電池という。100年もの間、革新的なイノベーションが見られなかった二次電池市場において、東芝は1991年に、エネルギー密度が高く有害性の低いニッケル水素電池の開発に成功し、既存企業を脅かす存在にまでなった。しかし東芝の優位性は長くは持たず、また、よりエネルギー密度の高いリチウムイオン電池に需要がシフトしたこともあり、2001年にニッケル水素電池事業からの撤退を余儀なくされた。並行して取り組んできたリチウムイオン電池事業からも2004年に撤退を決定し、東芝における二次電池産業に終止符が打たれた。後発企業の東芝が、既存企業に先駆けて画期的な技術開発に成功できたのはなぜだろうか。またそのような優れた技術を持ちながら、最終的に事業撤退に至ってしまったのはなぜだろうか。
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