要旨
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かつてデンソー社の主力製品であった、自動車部品のクリスタル型オイルフィルタは、性能の高さゆえに長らく製品競争力を保っていたが、構造上の問題から、改良によるコストダウンが難しく、価格の安さが求められる補給品市場において、他社にシェアを奪われてしまう。そこで、同社はパルプから製品を生産するというユニークな開発方法をとり、新たに安価な成形体オイルフィルタを開発した。同製品は補給品市場のシェアの奪回と、オイルフィルタ事業全体の利益率の向上を実現した。なぜこのような画期的な製品開発が可能だったのだろうか。開発から事業化までの流れを俯瞰し、組織的な要素に焦点を当てながらこの開発における成功要因を分析する。
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