要旨
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知識や学歴といった「個人的資源」に恵まれない温州人企業家が、他の中国人を圧倒する繁栄を手にできたのはなぜか。本稿は、彼らの「コミュニティー」に起因するパフォーマンス上の違いを分析するにあたり、特定のメンバーシップによって明確に境界が定まり、その成員間でのみ共有され利用されうる資源としての「コミュニティー・キャピタル」と、個人のネットワーク戦略に注目する。その結果、温州人の同郷縁をベースとする結束型コミュニティー・キャピタル(内的凝集性)と、遠距離交際に長けた「ジャンプ型」人材を中心とするネットワーク能力の高さ(外部探索性)のバランスの良さが浮き彫りになった。ただし近年は、温州人に繁栄をもたらしたその特性が、彼らのさらなる発展を拘束している。
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