要旨
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特許権は、占有ができず目に見えない「発明」という技術情報を保護する排他権であって、独自創作でも他者の権利の侵害となる知的財産権であり、他者の権利の認知困難性という特殊性がある。電気製品や自動車などのように多数のハードウェアおよびソフトウェアを統合して構成される商品では特許侵害を避けることが難しく、硬直的な差止請求権制度の下では産業活動の阻害など支障を来すおそれが大きい。権利濫用の法理やTRIPS協定を前提とする裁定実施権制度では解決が困難であり、①権利濫用の法理を超えた差止請求権の制限の導入、②刑事罰(特許侵害罪)の廃止、および③三倍賠償制度の導入、からなる三位一体の特許基本インセンティブ制度設計改革が必要である。
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