要旨
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個人消費者にとっての自動車は、単なる移動手段としての機能的価値を超えた顧客価値が重要である。しかし、EV化、自動運転、カーシェアリングなど、自動車の将来に向けた大きな変革を分析する際に、この点が十分に考慮されていないのではないか。若者は車離れしているとの論調も多い。本論文は、スポーティーに「走る喜び」、家族旅行などで「使う楽しみ」、憧れの車などを「持つときめき」という3つの意味的価値に焦点をあわせ、顧客価値の現状と変化を分析する。前半では、それらの価値は日本、ドイツ、アメリカ、中国のユーザーの間で、年齢を問わず、より重要視されている点をデータで示した。車離れの傾向は見受けられない。後半では、この点がもたらす自動車の将来への影響を議論し、移動手段としての機能的価値を中心に考えると、将来を正しく分析することはできない点を強調する。
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