要旨
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瀬戸内海に浮かぶ人口およそ3000人の小さな島が、世界から大きな注目を集めている。それは、香川県の直島である。直島はもともと小さな漁村があった島であったが、銅の製錬産業の誘致に成功し、財政的には比較的豊かになった。しかし、世界から注目されるような島では決してなかった。どのように、直島はこれほどまでに注目されるようになったのだろう。大きく進展するのは1985年以降ベネッセホールディングスと福武財団が活動を始めてからであった。それは、経済優先ではなく、ベネッセの企業理念である「よく生きる」と地域・歴史が共存できる道を探る試みであった。ベネッセはどのようにして、直島をこれほどまでに多くの人々を魅了する地域へとつくり上げていったのであろうか。本ケースでは、地域振興という点で類いまれな成果を上げた直島とベネッセの歩みをたどりながら、新たに地域振興を考える地域と企業に対しての示唆を探っていく。
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