要旨
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1921年に大阪府堺市にて鉄工所として創業したシマノは、自転車部品の製造・販売を主力事業とし、いまや同分野で世界をリードするトップ企業であり、「自転車界のインテル」との異名を持つ。しかし、同社の100年に及ぶ歴史をたどると、革新的な新製品による成功の背後で、さまざまな模索、試行錯誤、失敗を重ねていたことがわかる。本ケースで主に扱うのは、1980年代から今日にかけてシマノが弛まず続けてきた革新への挑戦の記録である。1980年代のマウンテンバイク向け部品の投入で自転車部品メーカーのトップに立ち、1990年代以降は市場の成熟化とさまざまなライバル企業の攻勢を受け成長は鈍化するも、その後は商品の多角化によって再び成長軌道に乗り、2010年代以降は、自転車の電動化に伴って拡大している新たな市場への取り組みを強化している。こうした目まぐるしい変化を遂げながら同社の発展と成長を牽引してきたのが、同社の基本原則であった。どのような原則でどのような挑戦を続けてきたのか。その歩みをたどっていく。
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