著作分類
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IIRワーキングペーパー
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著者
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市川類
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論文タイトル
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世界の人工知能(AI)ガバナンス制度の進化メカニズム ~技術と制度の共進化の中での地域的多様性による制度イノベーションの進展~
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機関名
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一橋大学イノベーション研究センター
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ナンバー
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WP#23-01
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公開日
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2023/03/08
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要旨
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近年、人工知能(AI)技術の進展と普及が世界的に急速に進んでおり、今後、世界各国の経済成長、国民生活の向上、社会課題の解決への寄与などが大きく期待されている。一方、AI技術の利用は、人類・地域社会の共有する社会規範に対しリスクを生じさせ得るものであり、そのリスクを受容可能な範囲に低減すべくAIガバナンス制度の在り方への関心が高まっている。特にAI技術は、いわゆる人の知的能力の一部を代替し、あるいはそれを超える能力をコンピュータ上で実現可能とするものであり、人類社会全体の在り方にも大きな影響を与え得ることから、今後、世界におけるAIガバナンス制度をどのような方向に進めて行くかは、人類にとっても大きな課題である。
このAIガバナンス制度については、現在、世界各国・地域において検討されており、原則として、利害関係者等との議論を通じて自ら最適と考えるものが提案されてきているものと考えられる。しかしながら、実際には、それぞれの地域的状況を背景に、多様な制度が提案されており、その多様性の中で、世界全体のAIガバナンス制度がどのように形成され、進化していくのかについては、ほとんど分析・考察がなされていないのが現状である。
このような問題意識の下、本ワーキングペーパーにおいては、「技術と制度の共進化」との枠組みの下で、世界におけるAIガバナンス制度の進化のメカニズムを明らかにすることによって、今後の世界のAIガバナンスの在り方の議論に資することを目的とする。
具体的には、まずは、「技術と制度の共進化」という視点から、AIガバナンス制度に係る検討の枠組みを設定し、このうち、特に「制度」としての技術ガバナンスに関しては、その国・地域において共有される社会規範に応じて、当該国家統治システムの中で形成されるという枠組みを設定する。その上で、このような枠組みの下で、特に社会規範や国家統治システムなどに係る地域差が、世界のAIガバナンス制度の進化を引き起こすメカニズムを実証的に明らかにする。具体的には、欧州、北米、日本などの先進民主主義国を対象にして、世界的において多様に構築されつつあるAIガバナンス制度を比較分析し、その要因を抽出するとともに、それぞれの制度が提案された経緯を時系列に分析することにより、各国・地域のAIガバナンス制度が、それそれの多様な地域的要因に基づきつつも、欧州AI法を中心に互いに影響を受け、改善工夫や新機軸の検討がなされることにより、「制度イノベーション」が生じつつあるというメカニズムを明らかにする。
このようなメカニズムを明らかにすることによって、この「技術と制度の共進化」という枠組みを踏まえつつ、世界のAIガバナンス制度の今後の方向について考察を行う。
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備考
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参考URL
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ラベル
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イノベーション政策, 規制, 人工知能, AIガバナンス
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登録日
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2023/03/08
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