要旨
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年に世界初のクオーツ式腕時計開発に先行したセイコーエプソンは、その後のクオーツ全盛期においても、継続的に新しい腕時計の開発に取り組んでいた。そのなかで誕生したのが、機械式腕時計と同じように「ぜんまい」を動力としながらクオーツ式腕時計と同程度の高精度を実現する、時計業界の既成概念を覆す革新的機構「スプリングドライブ」である。多くの革新事例が多様な困難に直面し、紆余曲折を経て実現されるのと同様に、本事例もまた1人の夢見る技術者の構想から2度の開発中止を経て、約20年の歳月をかけて実現された。本ケースでは、世界の腕時計愛好家の心を捉えてやまない「夢の機械式水晶腕時計」が、いかに構想・開発・事業化されてきたかについて議論する。
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