著作分類
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IIRワーキングペーパー
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著者
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市川類
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論文タイトル
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第四次AIブーム(ChatGPT)による世界のAIガバナンス制度の進化 ~ChatGPT型AIシステムの社会的リスクと世界のAI規制・ガバナンス政策の動向~
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機関名
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一橋大学イノベーション研究センター
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ナンバー
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WP#23-02
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公開日
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2023/05/15
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要旨
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2022年末から、対話型の生成系AIシステムの一種である、LLM(大規模言語モデル)を活用したChatGPT(Generative Pre-trained Transformer)型のAIシステムに対する関心が爆発的に高まってきており、今や、第四次AIブームの様相を示している。このChatGPTは、これまでのAI技術と比較しても、革新的なイノベーションを引き起こしうる技術であり、引き続き今後の経済成長・社会課題の解決に多大な寄与が期待される一方で、将来的なAGIに対する不安感・不信感が再度世間の中で台頭しつつあるとともに、実際に、人間社会に対してリスクをもたらす可能性が指摘されている。
それでは、このChatGPT型AIシステムに関し、その技術的特徴を踏まえると、どのようなリスクが生じることが見込まれ、また、第三次AIブーム以降進められてきたこれまでの世界のAI規制・ガバナンス体制は、今後どのように変化・進化していくことが見込まれるのであろうか。
このような認識の下、本ワーキングペーパーでは、ChatGPTに係る技術的特徴とそれがもたらしうるリスクについて考察した上で、このChatGPTに対応した世界における新たなAI規制・ガバナンス政策の動向に係る全体像及び現在地を示すことにより、今後の世界のAIガバナンス制度の方向に対する示唆を得ることを目的とする。
具体的には、まずは、第三次AIブームにおいて欧米を中心に生じたAGIへの不安感、期待感が現在の第四次AIブームにつながっていることを示した上で、今回のChatGPTの技術的内容とその限界を改めて整理することにより、人間との対話によるイノベーション創出にも有効であること、また、従来型の意思決定型のAIシステムとは異なるリスクが今後想定されることについて考察する。
その上で、まずは非営利機関(FLI)によるGPT開発中断に係る提言の内容とそのインパクト・合理性等を分析した上で、欧州、米国、日本、中国など世界におけるChatGPT型のAIシステムに係る規制・ガバナンスの動向について、これまでの動きを整理する。これらを踏まえて、1) 今後とも、先進民主主義国間では、各国・地域の事情に応じ、多様なAI規制・ガバナンス制度の進化が見込まれること、2)一方、従来の意思決定系のAIシステムでは個人情報、公平性・人権が重要であったのに対し、今回のChatGPT型のAIシステムにおいてはむしろ著作権、民主主義などのキーワードが重要になる可能性があること、3)世界的な観点からは、中国の独自規制により中国市場の孤立化などの可能性があること、などを示した上で、今後のG7の閣僚宣言を踏まえつつ、今後の世界のAI規制・ガバナンス制度の方向について論点を整理する。
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備考
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参考URL
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ラベル
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イノベーション政策, 規制, 人工知能, AIガバナンス
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登録日
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2023/05/15
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