要旨
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1933年、東京都江東区で創業した花岡車輌は、空港用物流機器、産業用物流機器などの事業を展開する老舗物流機器メーカーである。同社は、2008年のリーマンショックの影響により厳しい経営状況に陥った。この危機から回復し、再び成長軌道に乗る過程において、昭和の古めかしい台車メーカーから洗練された現代企業へと大胆な変革を遂げてきた。その変革を牽引してきたのが、花岡雅と花岡尚の「台車」兄弟である。インテリアデザイン会社出身の雅は、斬新な機能とデザインを持つ新商品を次々に導入するとともに、会社全体のリデザインを主導し、IT企業の営業部門出身の尚は、古い営業スタイルを一から見直し、顧客や市場に能動的に働きかける新たな営業スタイルの導入を推進した。本ケースでは、花岡車輌の事業展開の歴史を概観し、2018年頃から2021年のMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の導入に至る一連の組織改革プロセスを述べる。
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