要旨
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日本の生産性向上への取り組みの1つとして、官民の双方が推進しているのが、デジタル化である。特に新型コロナウイルス感染症の拡大は、デジタル化への社会的要求をいっそう高めることとなった。ここで焦点となったのが「脱ハンコ」である。押印がこれまで担ってきた機能をデジタルで代替することを可能にするものが電子署名であり、2005年に設立された弁護士ドットコムは日本でいち早くその普及に取り組んできた。同社は法律相談のポータルサイトを祖業とし、2015年に電子契約サービス「クラウドサイン」を開始した。クラウドサインは、従来の押印慣行や法的な制約といった、サービスの普及に対する高い障壁が存在するなかで、どのように浸透してきたのだろうか。本ケースでは、周辺サービスの開発やさまざまなパートナー企業との協力も行いながら、クラウドサインの普及を試みてきた弁護士ドットコムの10年に及ぶ足跡をたどる。
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