要旨
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楽器メーカーのヤマハは、1970年代以降、パソコンやゲーム機用音源チップの供給者として独占的な地位を築いてきたが、1990年代後半の市況悪化で苦境に陥り、大規模なリストラを余儀なくされた。その一方で、新たに携帯電話の着信メロディ(着メロ)事業に目をつけ、軌道に乗せることに成功し、ヤマハの業績はV字回復を遂げることとなった。同社は、長年培ってきた音源技術をいかにして着メロという形で商品化し、新たなビジネスモデルとして確立していったのであろうか。携帯電話を取り巻く業界の構造や技術革新にも触れつつ、デバイスからコンテンツへのビジネスの転換を図ったヤマハの着メロ事業の立ち上げのプロセスをたどる。
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