要旨
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1980年代、日本の半導体メーカーはDRAMを中心に世界市場を席巻し、50%を超える出荷シェアを誇っていた。しかしその競争力は、サムスン電子を中心とする新興DRAMメーカー、特定デバイスを占有するインテルなどの急速な台頭により、低下の一途をたどることとなった。このような状況下で2003年3月、日立製作所(日立)と台湾ユナイテッドマイクロエレクトロニクス(UMC)との合弁会社として、半導体製造に特化したファウンドリーとして設立されたトレセンティテクノロジーズ(トレセンティ)は、半導体生産システムおいて世界初となる2つの試み(300mmウェハの量産工場の立ち上げと完全枚葉化)を実現した。これらの新しい生産システムが必要とされた経緯と、それを実現するための様々な活動の詳細、さらに新システムの導入によってもたらされた経済効果とともに、背後にある、一企業の利潤動機を越えた大きな志を追う。
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