要旨
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無線通信は、より大量の情報をより正確に、より遠方に、そしてより安価に伝達するための技術革新を積み重ねてきた。この無線通信の技術革新の歴史に、1974年に砒化ガリウム電界効果トランジスタ(GaAs MES FET)の市販化に成功したことで名を刻んだのがNECであった。GaAs MES FETの原理そのものはすでに提案されており、世界中の名だたる企業がこぞって実用化に取り組んでいたものの、開発・量産化が非常に困難であったため、どの企業も成功には至らなかった。これに対して、NECは同分野の開発では後発であったものの、世界に先駆けて製品化することができた。本ケースは、NECによるGaAs MES FETの開発・量産化のプロセスについて記述するものである。
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